かそけ舎は、「かそけきものは、かそけきままに」をそっと置いていく為の、ちいさなレーベルです。

心に触れたものを蒐め、やがて朽ちる時までそばに居続けるような”もの”
”もの”は”物”であり、それは”人物”であり”器物”であり”物語”でもあります。

そんな”もの”を、出版やイベントを通して紹介する。決まった姿形を持たないレーベルです。


「かそけきものは、かそけきままに」いつか耳にした言葉が、心に残っている。ちいさな声はちいさいからこそ伝わることある。その声をおおきくすることで、多くの人に届けることに僕は魅力を感じない。”信じる者”と書いて”儲ける”と読むが、僕が信じたいのは、広い社会が変革する可能性ではなく、不甲斐ない自分自身と、それを許して側に寄り添ってくれる手に届く世界への信頼の回復だ。おおきな声はちいさな声をかき消して、今日も高らかに響き渡る。僕は耳を塞いでその場を足早に立ち去ることにした。

進軍を鼓舞するプロバガンダやファンファーレでは眠れない。幼少期ちいさな世界を包みこんでくれたのは、母のちいさな声だった。読み聞かせや子守唄・・内容は覚えていないけれど、自分だけに向けられたちいさな声は、心のお守りになって今も心のいちばん奥の方で微かな熱を持ち続けている。灯台のような煌々した光も、焚き火のような温もりも、すべての始まりにあるのは、心の種火だ。種火があれば営みを続けられる。何度でもやり直せる。身を焦がす灼熱を僕は望まない、焚き木はちいさなものでいい、ただ脈々と営みを繋いでゆく、それは、やがて土となり、風となり、風土となってゆくだろう、名も遺さず、形も忘れられてなお残るもの、それは、これまで民藝と呼ばれたり、信仰と呼ばれたり、誇りと呼ばれたり、自己の解放と呼ばれてきたものだ。すべてに共通することはひとつ”やがて至ること”それを信じるということだ。先人たちから受け取ったバトンを、しばらくの生の間、”かそけきもの”と呼ぶことにした。

「かそけきものは、かそけきままに」これまでもこれからも人知れず、心の種火を灯し続ける。


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